袈裟の概要
「袈裟」は梵語 kaṣāya の音写で、「壊色」「不正色」と漢訳される。古代インドでは五正色(青・黄・赤・黒・白)を避け、人が好まない混じった色や崩れた色に染めることが律で定められており、そこから袈裟の色の原則が生まれた。
田んぼの畦道を模した「田相」と呼ばれる縦横の縫い目が特徴。五条・七条など条数によって種類が分かれ、着用する法会や僧階によって使い分けられる。
七条袈裟
壊色(青・黒・木蘭色)の布をつなぎ合わせた、律に最も忠実な袈裟。衣財は麻・綿が基本で、僧階が上がると羽二重・絹を用いる。真言古義系は木蘭系、新義系は茶木蘭系の色を多く使う。
錦・金欄・緞子などの紋絹を用いた華美な七条袈裟。甲と縁に錦と金欄の赤地を用いたものが最上とされ、灌頂・曼荼羅供などの大法会で用いる。高野山では衲衣着用の職衆を「衲衆」と呼ぶ。
衲衣の一種で、甲の色によって香甲・紫甲・黄甲・青甲・赤甲などに区別される。今日の高野山では甲が青地金欄・赤地金欄のものをまとめて青甲と呼ぶ。
甲も縁もすべて白平絹で仕立てた一色の袈裟。袍服や鈍色の上に着用する。高野山では曼荼羅供の従弟子や伝法灌頂の受者などが用いる。
五条袈裟
織物の生地に寺紋などを白く織り出した五条袈裟。高野山では「もんじろ」、京都では「もんぱく」と呼ぶ。規則正しく縦横に紋が並ぶものと、交互に配列した乱付紋がある。
高野山で襲着用時に用いる、生成り色の精好織りの五条袈裟。精好織はしなやかで独特の張りと風合いがある。
高野山で空衣着用時に用いる白色の五条袈裟。木綿または羽二重で製作。密教では曼荼羅の諸尊に白衣を着用する仏がおられることなどを根拠として用いる。
高野山で空衣着用時に用いる黒色の五条袈裟。羽二重を墨染めして製作。勧学会を経て所定の要件を満たした後に着用を許される。
その他の袈裟
葬儀・法事に多く用いる七条袈裟。如法衣とほぼ同形だが、甲と縁に金欄・金紗を使って華やかに仕立てる。素絹・空衣などの常用衣の上から着用する。
金欄で作られた五条袈裟。自坊での私的な勤行などに用いる。高野山では公式の法会には用いない。
細長く折りたたんで首にかける袈裟。江戸時代に道中用として作られ、現在は改良服などの着用時に広く用いられる。
五条袈裟を縮小して両上端に紐をつけ首にかける袈裟。大正時代に豊山派の小野塚師が考案。改良服着用時に用いる。衣財は羽二重・絽など。
通常の五条袈裟より小さく布地も簡素な、平常着用の袈裟。素絹・直綴・縵浄衣などの上に用いる。高野山では用いない。
長い布を二つ折りにして合わせ目を縫い、両端に紐をつけたもの。檀信徒が参拝や自宅での礼拝時に折五条のように首からかけて用いる。
参考:高野山の衣體・袈裟の研究
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